日本の知的レベルの劣化については、既に多くの識者が警鐘を鳴らしている。未曾有の世界同時不況に直面した現在、各国の対応を見てみると、彼我の「格差」がよくわかる。各国の政治家、官僚、学者、そしてマスメディアは何を問題とし、どんな論議をしているのだろうか。それに対して、わが日本は? ケインズは『一般理論』の結びで、世の政治家や実業家は何十年も前の古い経済思想の奴隷であると書いた。本書は、「市場原理主義」か否かといったメディアが好む粗雑な議論を排し、世界標準となっている経済学の知識をわかりやすく政治家、官僚など政策に携わる人々に提供しよう狙いで、2008年末に4回にわたる対談を行い、緊急にまとめたもの。 池田氏が主に聞き手となり、池尾氏が講義するという形になっている。 内容は今回の経済危機の分析だけにとどまらず、マクロ経済学の新しいコンセンサス、エージェンシー問題、コーディネーションの失敗、政策の時間整合性など経済学的知見をフルに活用して、日本の「失われた10年」の原因分析も含めて説明している。
著者について 池尾和人(いけお・かずひと): 慶応義塾大学経済学部教授。1975年京都大学経済学部卒業、80年一橋大学大学院経済学研究科博士課程修了。岡山大学、 京都大学を経て94年慶応義塾大学経済学部助教授に就任。 95年から現職。経済学博士。著書に『日本の金融市場と組 織』『現代の金融入門』『開発主義の暴走と保身』など。
池田信夫(いけだ・のぶお): 上武大学大学院経営管理研究科教授。1953年京都府生まれ。 東京大学経済学部を卒業後、NHK入社。1993年退職後、国際 大学GLOCOM教授、経済産業研究所上席研究員などを経て現 職。学術博士(慶應義塾大学)。著書に『電波利権 』『ウェブは資本主義を超える 』『ハイエク 知識社会の 自由主義 』など。
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